2010年6月7日

朗読劇『私の頭の中の消しゴム』

 『私の頭の中の消しゴム』といえば、日本でも大ヒットした韓国映画です。それを朗読劇という形で舞台化した、今回のこの公演でした。
 この作品、もともとは『Pure Soul~君が僕を忘れても~』という日本のTVドラマだそうです。
 誠に申し訳ないのですが、色々な媒体に展開している有名な作品なのに、全くどれにも触れたことがありませんでした。
 だからこそ、まっさらな気持ちで観ることができた、という意味ではよかったのかもしれません。とくに朗読劇なので、言葉が素直に入ってくる方が楽しめますからね。

 では、公演も終了したことですし感想を書きたいと思います。
 この公演、8組のペアでそれぞれ2回、計16回の公演数でした。
 今回拝見したのは2回【5月29日(土)18:00開演・6月1日(火)14:00開演】。とはいえ、泉見さんと坂本さんの回だけですので、分けて書かずに一緒にします。

 公演時間は2時間。朗読という形なので、入り込めなかった人は結構キツかったのではないかなぁ。ただでさえ動きがあまりないですし、それに舞台に興味がなかったりしたら、そりゃあ眠くなりますよね。実際にキツそうな人、いましたね。でも、お願いだから音を立てないでほしいです、気になるから。まあ、解りますけど。

 感想としては、大変良かったです。
 2回とも、周りですすり泣く声が聞こえてきましたし、まあ、さすがに泣くことはなかったのですが、感極まるものがありました。
 2人の日記形式で物語が進むのですが、それにより、当人の心情が巧く表現されつつ、そしてまた、時間軸もしっかりとしていたので、物語に入りやすかったです。
 また、2人が座っている後ろにモニターがあり、そこに画面が映し出されるのですが、その画面に余計なものはなく最低限のものであったので、それにより観客の想像を巧くかきたてていたのではないでしょうか。

 そして、観終わってから色々考えてしまいました。
 自分が薫の立場だったら? はたまた、浩介の立場だったら? と。

 記憶がなくなるというのは相当辛いことだろうと思います。それまで普通に出来ていたことが出来なくなるわけですから、辛いというか、もどかしいですよね。出来ない自分に腹が立つ、というのは現時点でも良くあるのですが、それが日常茶飯事になったら大変だなぁ。
 とはいえ、きっと症状が進行していくと出来ていたことも忘れてしまうのですよね。
 そして、介護する側も。どんなに好きな人でも、そこまで献身的になれるのだろうか。今の自分には答えが出ないです。

 それにしても、最後の薫の言葉はキツイ。予想はしていましたが、いやぁ、あれを言われたら、仕方のないことだと解ってはいても、どうしたら良いのか判らなくなりますね。とりあえずその言葉、再演も決定しているので書くのはやめておきます。

 とかなんとか言いつつ、まあ、始終思っていたことは、泉見さん若いなぁ、イケメンってこういう人のことなんだろうなぁ、坂本さんまた一段と綺麗になったような気がするなぁ、良い歳の取り方しているなぁ、など。全く内容に関係のない、このようなことを思いながら観ていました(笑)。

 そんなダメな自分ですが、でも、“やはり表現者という人はスゴイ!”と、つくづく感じさせられた公演でした。